水耕栽培と土耕栽培、都市農場での使い分け方
水耕栽培と土耕栽培は、それぞれ得意な野菜と苦手な野菜があります。Fresh Solsticeでは開業当初から両方の方法を同じ施設内に設置していますが、この判断に至るまでには試行錯誤がありました。どちらが優れているかという話ではなく、野菜の種類と目的に応じて選ぶという考え方です。
水耕栽培が向いている野菜とその理由
水耕栽培は、根が常に養液に触れているため、葉物野菜の生育が安定しています。ルッコラやバターレタスのように、短いサイクルで収穫を繰り返す野菜に向いています。Fresh Solsticeでは、水耕ベッドの養液濃度をEC値(電気伝導度)で管理しており、季節ごとに調整しています。夏は1.2〜1.5 mS/cm、冬は1.8〜2.0 mS/cmを目安にしています。
一方で、水耕栽培は初期設備のコストが高く、ポンプや冷却装置のメンテナンスが必要です。2026年夏の猛暑では水温管理に苦労しました。設備への依存度が高い分、トラブル時のリスクも土耕より大きいと感じています。
土耕栽培が向いている野菜とその理由
ビーツやラディッシュのような根菜は、土の中で形を作るため、水耕栽培では育てにくい野菜です。土耕ベッドでは、松山市内の資材店から仕入れた赤玉土とバーミキュライトを混合した培土を使っています。配合は赤玉土6:バーミキュライト3:腐葉土1を基本にしており、年に一度、秋の作付け前に土を入れ替えています。
土耕栽培の利点は、設備への依存度が低く、停電や機器トラブルの影響を受けにくいことです。また、土の微生物環境が野菜の風味に影響すると考えており、農薬を使わない理由の一つでもあります。
二つの方法を同じ施設で運用する上での注意点
水耕ベッドと土耕ベッドを同じ空間に置く場合、湿度管理が難しくなります。水耕ベッドは蒸発量が多く、施設内の湿度が上がりやすいため、土耕ベッドの土が過湿になるリスクがあります。Fresh Solsticeでは、水耕エリアと土耕エリアの間に換気扇を設置し、空気の流れを分けています。
この構造は、当初の設計を見直して改修したものです。最初の設計では湿度の問題に気づいていませんでした。実際に土耕ベッドのラディッシュが過湿で腐れたことがあり、その経験から現在の配置に変更しました。設計段階で専門家に相談できていれば防げた失敗でしたが、今では見学ツアーでも説明する内容の一つになっています。
水耕と土耕のどちらが正解かは、育てたい野菜と施設の条件によって変わります。農場見学ツアーでは、実際のベッドを見ながらこの話をしています。